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2011年7月23日 (土)

「歌はこころよりも技術?」 【ストレンジボイス/memo005】



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最近「歌と心の関係」について書いた原稿がボツになったんですが、もったいないのでブログに記載します!

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「歌はこころよりも技術?」

カラオケに行って歌を歌うのは楽しいものです。しかし最近は歌うと採点が出る機械がカラオケボックスにあったりして、「うまく歌わなきゃ・・」とプレッシャーがかかります。では「歌がうまい」とはなんでしょうか?「そんなの、こころがこもっているかどうかです!」という意見があります。ごもっともです。けれど、こころをこめて熱唱してるはずの上司の歌に、耳をふさぎたくなることもありませんか?いったい「こころ」と「歌のうまさ」の関係はどうなってるのでしょう?

◆人間の歌も「楽器」である
ではいったん「歌は“こころ”」という考えを置いといて、「歌は“楽器”」という視点で考えてみます。楽器にはかならずブルブルとふるえて「音」を作りだす発音体があります。ピアノだったら「弦」、サックスだったら「リード(弁)」です。「歌」の場合は喉にある「声帯」がそれです。声帯はちょうど薄い膜が二枚並んでいるような形をしています。そこに肺から送られた空気が通ると振動で「ビーッ」という音が生まれます。この音がのどを通って口の中にたどり着き、舌や歯や唇といった壁を通るときに、「ラ」とか「ザ」とか「パ」などの音に加工され、いろんな「音色」が作られます。また、楽器にとって大事なのが、ドレミファソラシド・・・と変化する「音程(ピッチ)」ですが、声帯はつながっている筋肉のひっぱりぐあいで音程(ピッチ)を変えます。これは指にはめた輪ゴムをはじきながら見っぱると、だんだん音が高くなるのと同じしくみです。

◆歌うしくみは音痴にできている
さて、ピアノやサックスは、「ここを押せばドの音が出る!」と決まっています。なのでだれが演奏しても、正しい音程が出ます。ところが、「歌」の場合、声帯の筋肉の“適当な”ひっぱりぐあいで音程が決まります。どこが「ド」かなんてぜんぜん決まっていないのです。つまり「歌」はしくみそのものが音痴なんです。「ああ、自分は音痴だ・・・」と悩んでいたみなさん、ご安心ください!それがナチュラルなのです! とはいえ、やっぱり世の中には歌がうまい人がいます。理由は耳がいいからです。自分が出した声を耳で聞いて、間違っていたら正しい音程に修正する脳が発達しているのです。これを「フィードバック」といいます。つまり「声を出すほう」に加えて「声を聞くほう」が発達しているのです。カラオケが一発でうまくなる方法で、「バケツをかぶる」というのがありますが、これは自分の出した声がよく耳で聞こえるようにフィードバックをバケツで作っているからです。

    

◆心がない歌に感動する?
さて明和電機は、こうした人間の歌うしくみをそのまま機械におきかえて、人間のように歌うロボット、「セーモンズ(SEAMOONS)」を作りました。「声帯>ゴム」、「筋肉>モーター」「耳>マイク」「脳>コンピューター」とすべて置き換えてあります。この「セーモンズ」がコンサートで「ア~ア~」と歌うと、お客様の中で感動して涙する方がいました。それを見て僕はあれ?と思いました。セーモンズは機械なので「こころ」がありません。けれどその歌に人間の「こころ」が感動しているのです。そこで僕はこう思いました。「人は歌のこころに感動するのではない。こころを表現する“技術”に感動するのだ」と。


考えてみれば、芸術家は、無機質な絵具や石や木を使って「まるでこころがあるような」絵や彫刻を作ります。それができるのは彼らがこころを表現する「技術」をもっているからです。歌は肉体そのものから発するものなので、なんとなく感情に近いものに思えますが、絵画や彫刻と同じような“客体物”として見るならば、感動を作るには、やはりこころとは切り離して作り上げる技術が重要になります。歌うロボットを作る面白さはその「こころ」と「技術」の境目を見ることができることです。

とはいえ、カラオケで熱唱してる上司に、「部長、カラオケはこころじゃないですよ、技術ですよ!」と言ってはいけませんよ。それは上司のこころを逆なでしますからね!


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この内容、実は以前にブログで書きました。ご興味のある方はどうぞ!

オタマトーンの声の出るしくみ

歌と感情と機械

声の呪術性と機能性について


なぜ歌う機械を作るのか






【ストレンジボイス/memo 000】   ストレンジボイス イベントの概要
【ストレンジボイス/memo 001 音楽情報処理研究ってなに?
【ストレンジボイス/memo 002】   ストレンジボイスとCGM

【ストレンジボイス/memo 003】 AFRAさんがアトリエにやってきた!

【ストレンジボイス/memo 004】 まぼろしの歌をエジソンに歌わせてみた

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コメント

残念ながらサックスは同じキーを押さえたとしても誰もが同じ音程で吹けるわけではありません。
練習してもできない人も結構たくさんいます。
おそらくできない人はサックスを吹くのをやめてしまうので、気がつきにくいだけなのでしょう。

わたしは機械がうたっても感動しませんよ。良い音なら良い音、おもしろい装置ならおもしろい装置、という感動はあるかもしれませんが感動の出どころが違います。〃人間とは〃でくくらないでいただきたい。

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